ベアリングシールの役割
ベアリングシールは、プレス鋼板の芯金にエラストマーを焼付けたリングです。外輪の溝にはまり、内輪肩部に接触するか、ごく近くまで寄ります。役割は二つあります。玉と軌道面を潤滑するグリースを軸受内部に留めること、そして摩耗の原因となる粉じん・水・加工くずを外に留めることです。密封寿命型の軸受では、グリースが漏れたり異物が入ったりすると摩耗が急速に進むため、シールが実質的に寿命を左右します。
シールが独立した部品ラインである理由は、購入形態が二通りあるためです。多くは、深溝玉軸受のシール付き仕様のように、工場で玉軸受に組み込まれます。もう一方は、軸受自体は交換せず、ベアリングハウジング、ハブ、ギアボックスの軸に使う交換用シールとして単品で購入されます。当デスクは両方を専門のシールメーカーと調整します。中国のシール生産は、山東省冠県周辺など複数の産地に集中しており、近隣のベアリング取引拠点を支えています。
接触式シールと低トルクシール
主な設計上の選択は、シールリップが内輪にどの程度近接するかです。代表的な記号は呼び番号ガイドで説明しています。
| タイプ | 記号 | リップ接触 | 強み | トレードオフ |
|---|---|---|---|---|
| 接触式シール | 2RS、2RSH | リップが内輪肩部に接触 | 粉じん・水しぶきに対する防護性が最も高い | 摩擦・発熱・トルクが大きく、許容回転数が低い |
| 低トルクシール | 2RZ | 微小な隙間、またはごく軽い接触 | 抵抗が小さく、高速向き | 微細な粉じんや水への防護が劣る |
| 金属シールド | Z、ZZ | 非接触、小さな隙間 | 摩擦がほぼなし | 粒子は防ぐが液体は防げない。シールドを参照 |
RSとRSHはどちらも接触式シールを表し、RSHはメーカーのラインアップ内の特定のリップ形状を指すことが一般的です。記号の意味はメーカーにより多少異なるため、当デスクは提携工場にシール図面を請求し、リップタイプを書面で確認します。金属カバーとの直接比較は2RSとZZの違いをお読みください。
NBR、FKM、その他の材質
エラストマーは、使用温度と軸受周辺の流体によって選びます。以下の比較は定性的なもので、正確な温度限界は配合によって異なり、サプライヤーのデータシートで確認します。
- NBR(ニトリルゴム)。標準的な選択肢です。鉱物油やグリースへの耐性、耐摩耗性に優れ、低コストです。一般機械、モーター、ポンプ、コンベヤーに適します。高温が続くと劣化が早く、一部の溶剤やオゾンには強くありません。
- FKM(フッ素ゴム)。高温や、多くの合成油・燃料を含む強い薬品環境で選ばれます。NBRより高価で、極低温では柔軟性が落ちる場合があります。
- その他の材質。水素化ニトリル(HNBR)、シリコーン、PTFE系リップは、広い温度範囲や低摩擦など特定の用途に使われます。標準在庫ではなく、用途ごとに見積もります。
軸受が高温になる場合は、シールだけでなくグリースの限界も確認してください。標準グリースを充填した軸受に高温用シールを組み合わせても、使用温度は広がりません。グリースのページと潤滑ガイドをご覧ください。
リップ形状、はめあい、交換用シール
標準的なシール付き玉軸受では、シングルリップが一般的です。ダブルリップやラビリンス形状は、農業機械やコンベヤーのような粉じんの多い、あるいは湿潤な用途で第二の防護層となります。鋼板の芯金はシールの真円を保ち、溝から外れない剛性を与えます。通常はプレス炭素鋼で、洗浄環境向けにはステンレス芯金も選べます。シールは外輪の溝にスナップインで取り付けられ、内輪側はリップが当たる平らな肩部、または凹みになっています。
ハウジングや軸用の交換シールでは、軸径、内径、シール幅が寸法の要点で、リップ形状は流体の向きに合わせる必要があります。寸法、シール対象の媒体、使用温度を見積依頼フォームからお送りください。古いシールがあれば、定規またはノギスの目盛りを添えた写真が役立ちます。関連部品はベアリングハウジングのシールとアクセサリーの製品群です。
出荷前の検査
- 承認済みサンプルまたは図面に対するシールの材質と硬度。
- 単品シールの外径・内径・幅の図面照合。
- 組込み品では、溝へのシールの着座、リップの状態、ゴムばりの有無。
- サンプルでの回転トルクの感触確認、開封時のグリース量。
- 表示、梱包、防錆処理。梱包と防錆を参照。
部品の目安:シールは通常、千個単位のロットで出荷され、在庫サンプルは3~7営業日です。時期と数量はすべて、案件ごとに書面で確認します。
シールの選定で迷われる場合は、使用環境(粉じん、水、薬品の有無)、運転温度、おおよその回転数を依頼書にまとめてお知らせください。当デスクはこれらの条件を提携工場に伝えたうえで、接触式か低トルクか、NBRかFKMかの候補を整理し、図面とサンプルで内容を確認してから数量と時期を書面でお返しします。
