スラストころ軸受の役割
スラストころ軸受は、軸側とハウジング側の2枚の軌道盤と、その間に保持器に収まったころで構成されます。荷重は軸方向に作用し、ころが線接触でそれを受けるため、スラスト玉軸受の点接触よりも容量がはるかに大きくなります。低速から中速で大きなアキシアルスラストがかかる用途に選ばれ、押出機のスクリュー、クレーンフック、立形ポンプ、工作機械のテーブルなどに使われます。ラジアル荷重は一切受けられないため、軸のラジアル支持と、2枚の軌道盤の同心の保持は、別の軸受が担う必要があります。
スラスト軸受の転がりは、ラジアル軸受ほど純粋ではありません。ころは平らな軌道盤の上で異なる経路をたどるため、常にある程度のすべりが生じ、発熱して回転数を制限します。通常は油か、安定したグリースによる良好な潤滑が不可欠です。
3つの形式と使い分け
| 形式 | シリーズ | 許容傾き | 代表的な用途 |
|---|---|---|---|
| 円筒ころスラスト | 811、812 | なし。精度の高い座面が必要 | 歯車駆動、プレス、工作機械 |
| 球面ころスラスト | 292、293、294 | あり、小さな角度 | 押出機、大形立形ポンプ、クレーン旋回部 |
| 円すいころスラスト | 用途ごとに個別 | なし | 圧延機のロールネック、重量テーブル |
円筒ころスラスト(811、812)。短いころを1列または2列備えるか、針状に近いころを保持器組立にしたものです。コンパクトで剛性が高く、コスト効率も良好で、811と812シリーズは一般的な歯車や工作機械向けの標準的な高さです。保持器ところの組立は、機械自体の焼入れされた面の上で使えるため、高さを節約できます。
球面ころスラスト(293、294)。傾斜した軌道上のたる形ころと、球面のハウジング軌道盤の組合せです。大きなアキシアル荷重を受け、軸とハウジングの傾きを許容し、油潤滑の場合は軽いラジアル荷重も支えます。重量の大きい立軸では、通常この形式が選ばれます。
円すいころスラスト。平らな、または円すい形の軌道盤の上に円すいころを配置したもので、特定の重荷重用途や特注用途向けに供給します。通常は図面またはデータシートに基づく品目として扱い、案件ごとに見積もります。
取付けとはめあい
- 座面は平らで直角であること。ハウジングと軸の肩は、焼入れするか、精密な平面で裏打ちする必要があります。座面が傾くと、ころの片側に荷重が集中します。
- ラジアル方向の位置決め。軸軌道盤は通常、軸に軽くはめあい、ハウジング軌道盤はラジアルすきまをもって置くため、位置を決めるのはスラスト軸受ではなくラジアル軸受です。
- 潤滑剤。ころの端面に油膜を保ちます。重荷重では油浴か循環給油が一般的で、グリースは低速と定期的な再給油が前提です。
- 軌道盤。単体の軌道盤や軸・ハウジング軌道盤は 軸受ワッシャ に掲載しています。
ハウジング軌道盤はラジアル支持なしで中心を保つ必要があるため、ハウジングの緩みや軌道盤のがたつきは、早期故障の一般的な原因です。不整合の影響 をご覧ください。
仕様の指定方法
スラストころ軸受の見積依頼では、タイプと呼び番号の全体、アキシアル荷重の方向と大きさ、軸の回転数、荷重が一定か衝撃的か、潤滑方法をお知らせいただくと有用です。さらに、同じ軸で使用するラジアル軸受、ハウジングと軸の座面寸法、そして完成した組立品が必要か、軌道盤や保持器を個別に必要とするかも添えてください。これにより当デスクは、そのシリーズが寸法の制約に収まるか、どの工場が生産しているかをお伝えでき、仕入先データシートで具体的な品番の容量と回転数の限界をご確認いただけます。Rolvaneは、スラスト形式について一般的な容量の数値を公表していません。
用途
代表的な用途は、プラスチック押出機、クレーンや吊り具のフック、立形ポンプや発電機の軸、工作機械の回転テーブル、ステアリングのターンテーブル、はす歯歯車を持つ減速機の軸、鉱山機械などです。アキシアル荷重が中程度で回転数が高い場合は、アンギュラ玉軸受 や スラスト玉軸受 の構成が経済的な代替案になることがあり、その場合は、重い選択肢を見積もるのではなく、そのようにお伝えします。
検査と発注
代表的な確認項目:各軌道盤と組立品の内径、外径、高さ、軌道盤の平面度と平行度、ころセットの組合せと保持器のはめあい、表面仕上げと硬さ、防錆です。軌道盤と保持器は別品目として供給されることも多く、完成した組立品が必要かどうかをご指定ください。標準呼び番号は通常100〜500個から、大形サイズはより小ロットで見積もる場合があり、大形の特注タイプは図面から判断します。在庫サンプルは3〜7営業日、量産は25〜45日で、標準的な目安として書面で確認します。呼び番号は 見積依頼フォーム からお送りください。図面や使用条件が分かる資料を添えていただけると、シリーズの適合と工場の絞り込みがスムーズに進みます。検査の内容や報告書の形式は、ロットごとに事前にすり合わせて決めます。
